まぼろしの龍宮城 自殺の名所オタモイ海岸の夢

オタモイ海岸(小樽市)

小樽市オタモイ海岸では、自殺者が後を絶たないという。
実際、海岸の上にある展望台で写真を撮ると、無数の腕が写っているとか……。
それを確かめるべく、切り込んできました。

噂の、生者を引っ張り込もうという手の写る(らしい)展望台です。
一応、落下防止の柵があります。
とりあえず百聞は一見にしかずということで撮りましたが……?
崖にある道を歩いていくと、お堂があります。
観音像っぽいものが祀られているのですが、自殺者の霊を弔うものなのか?
このお堂をさらに進むと、何かがあるということでしたが。

さて、ここまでが2000年当時のレポート。正直言ってショボイですね。
従って、今回(2010年)もう一度オタモイ海岸へと足を運んで、現在の海岸がどうなっているのかを確かめてきました。
実に10年ぶりの再訪です。
ついでに、オタモイの歴史についても少し触れておくことにしましょう。

オタモイ海岸は赤岩地蔵のレポートでも紹介したニセコ積丹小樽海岸国定公園・小樽海岸自然探勝路の端っこに位置する海岸です。
これは海岸へと向かう国道の途中にあった看板。
「土砂崩れのため オタモイ遊歩道は通行止です」
まあ行くだけ行ってみましょう。行ってだめなら引き返せばよし。
ヘアピンカーブの急勾配な坂道を下っていくと、やがて展望駐車場に出ます。
そこからさらに下へ降りていくと、有料海水浴キャンプ場があるそうです。
上から撮ってみましたが、海の家が一軒見えますね。
で、問題のオタモイ遊歩道へ至る道ですが……。

私「……開いてる」
WARLOCK「行けるんじゃないの、これ?」

ゲートがバッチリ開いています。通行止ということでしたが、折角ここまで来たし、無理そうなら無理そうなところで大人しく引き返す……ということで、ちょっと様子を見にいくことに。
内緒だぞ!
遊歩道は海に面した断崖絶壁に沿って作られています。
途中にはとても古びた、楼門めいたつくりのオブジェが山肌をくりぬいて造られたトンネルの入口に設置されております。
かつて(昭和期戦前)、このオタモイ海岸には「オタモイ遊園地」なる一大レジャーランドが存在していました。この楼門はその名残なのです。
オタモイ海岸を語る上でオタモイ遊園地を外すことはできません。
トンネルをくぐって先へと進みます。

「隆盛を誇った割烹「蛇の目」の店主加藤秋太郎は小樽には見所がないという知人の言葉に奮起し、名所探勝の日々に明け暮れる。そして、ついに、古来白蛇の谷と呼ばれたこの地を探し当て、昭和十一年「夢の里オタモイ遊園地」を完成させた。」
崖っぷちに咲く花一輪。

「その規模は当代一を誇り、ブランコ、すべり台、相撲場等の遊園施設のほか、龍宮閣や弁天食堂といった宴会場や食堂を設けた。特に京都の清水寺を凌ぐといわれた龍宮閣は、切り立った岩と紺碧の海に囲まれ、まるで龍宮城のお伽の世界のようだったという。」
眼下には、積丹ブルーの海。

「最盛期には一日数千人の人々で賑わったこの施設も戦争が始まると贅沢とみなされ客足が遠のき、戦後、これからという昭和二十七年五月営業再開を目前に控えながら焼失した。」
祠がありました。

「現在、遊園地の跡を偲ばせるものは断崖の上に残った龍宮閣の礎石と遊歩道トンネルの部分だけである。」
(遊歩道入口案内板より抜粋)

遊歩道のみならず、オタモイからオタモイ海岸に至る一帯すべてが「オタモイ遊園地」として機能していたようです。現在の展望駐車場には超巨大食堂「弁天食堂」があり、グラウンドや相撲場などもあったようですが、今は砂利しかありません。
10年前の画像にも写っている祠です。
しかし、10年経てばその老朽化も激しく……。
中には祭壇であったとおぼしき廃材が積んであって、ひどい状況。
祠を見上げる。
……しかし、私費を投じてそれほどのレジャーランドを築き上げた加藤秋太郎という人物の熱情には、ただただ頭が下がります。
「見所がない」そんな言葉を掛けられたくらいで、「じゃあ遊園地作るべぇ」とは思いませんよ普通。
小樽を本当に愛していたのでしょうね。……単に規格外の負けず嫌いだったというだけかもワカりませんが。(うがちすぎ)
さて、祠の中に入ってみましょう。
……お供えものがある……。
ひんやりとした祠の中に、冷たく露を纏ったタマゴがワンパック。
出荷日は7月27日……。あ、新しい! (探査月7月28日)
誰かがこまめにお参りしているのか?
燭台には灯しさしの蝋燭が残っていました。傍らには予備の蝋燭も。
間違いなく、ここには人が来ています。恐らく頻繁に。
しかし、それにしちゃボロボロですが……。
まあ、信仰心に見栄えは関係ないということで。
でも、私の記憶が確かならここには観音像みたいなモノがあったはずなんですが、それはどこに行っちゃったんだろう?